エモさは、作れる。
本日も” Royal Street Journal ”をお読みいただきありがとうございます。Hiroです。
僕は普段SONYのα7IIIというカメラを使用して、趣味のカメラを楽しんでいます。そのα7IIIの強みの一つとして”オールドレンズ”というものがとても扱いやすいことにあります。
オールドレンズとは一般的にフィルムカメラ時代に作られたレンズとなります。現代のレンズがキレキレの描写を映し出し、フレアやゴーストを徹底的に抑えるというものに対して、オールドレンズは基本的に甘い描写で、フレアやゴーストがそれはもう出まくりです。ですが、それが癖であったり個性と捉えられて、その深淵の沼にドップリとハマってしまう人が多いとか多くないとか…。
また、現代のレンズですと、F1.4やF1.2のような明るいレンズは重さが大体1キロ前後でとても重くなってしまうのに対して、オールドレンズは同じ程度の明るさで重くても400gも満たないくらいの重量になります。
『普段の散歩でカメラを持ち歩くのに重いものは持ち歩きたくない。でも明るさも妥協したくない。』
そんなニーズを満たしたい方にはぴったりな選択肢かもしれません。
HELIOS 44-2 58mm
例に漏れず僕も、『重いの嫌だ。でもレンズが明るくないのも嫌だ。』という我がままな人間です。そこで自分にピッタリだと思ったのが、「HELIOS 44-2 58mm」というレンズでした。モノとしてはかなり有名らしく、カメラを趣味としている人も名前くらい聞いたことがあるという人が多いとのことです。僕も名前は知っていましたが、一体どんな個性を持ったレンズかは知りませんでした。ですが、このレンズなかなかの”くせ者”レンズでした。
HELIOS 44-2 58mm のスペック
今回は僕が実際に使用しているレンズの基本的なスペックを紹介します。
名称 | Helios 44-2 |
レンズマウント | M42マウント |
焦点距離 | 58mm |
開放絞り | F2.0 |
最小絞り | F16 |
最短撮影距離 | 50cm |
フィルター径 | 49mm |
質量 | 約250g |
HELIOS 44-2 58mm の作例
「このレンズ、クセ者」的な表現をしましたが、一体どんな”クセ”があるんだよ?って話になりますよね。
オールドレンズというくらいですので、現代のレンズとは写りが異なります。開放で撮っても写真自体にキレはなく、ふんわりします。
そして盛大なフレアや癖のあるボケを見せてくれます。
お花と虹色フレア
写りは少し霞んでいる感じで、光の入り方によってはこのように虹色のフレアが発生します。
逆光下の中で撮影したのでコントラストが下がってしまいますが、お花とかの撮影となりますと写真にふんわり感が演出され、柔らかい表現をすることができます。
風景も撮れる
58mmという焦点距離は人の視覚に近い見え方をすると言われています。
なのでぼんやり散歩しながら、ふと良いと感じた風景を撮るのにもピッタリです。
二枚の写真はどちらも絞り開放で撮ったものです。開放だとやはり描写に甘さを感じますが、そのぼんやり感もオールドレンズの良さと捉えられないでしょうか。現代のなんでも写す優等生のような写真も捨てがたいですが、このようなノスタルジックな雰囲気を手軽に出せるというのは魅力的だと思います。
ポートレートのアクセントにも
思いっきり逆光ですが、フレアを出すことでアクセントに。夕陽とフレアの組み合わせで『エモい』は作れる!
Helios といえばグルグルボケを出せるレンズとして有名とのこと。いかがでしょうか。これはオールドレンズというより Helios ならではの描写と言えるかなと思います。普通のポートレートに少しアクセントを加えたいのであれば、「最適解」とは言い難いですが、一つの「特異解」と言えるでしょう。
一枚一枚の写真と向き合う。
オールドレンズというのは基本的にはマニュアルフォーカスとなっており、ピントは手動で合わせることとなります。
冒頭でSONYのカメラα7IIIと相性が良いと述べましたが、α7IIIには「ピント拡大」と「ピーキング」という機能があります。
■ 「ピント拡大」・・・ピントが合っている面を拡大する。
■ 「ピーキング」・・・ピントが合っている部分を色付けする。
これらの機能もあり、動体の被写体は難しいですが、それ以外であればマニュアルフォーカスでも簡単にピントを合わせることができます。
じっくりとピントを合わせ、シャッターを切る。
スマートフォンを含め、今では写真を撮るときはカメラ側が自動でピントを合わせてくれます。それはとても便利ですが、写真一枚に対してピントから自分で合わせた写真というのは記憶に残るものです。
ピント合わせなんて面倒と最初は僕も思ってましたが、今ではその手間も楽しく感じます。
小さく軽いレンズは写真を撮るという行為に対して抵抗感を下げてくれるので、たくさんのシャッターチャンスを生み出してくれます。決して現代のレンズのように優等生な写りをしてくれるわけではありませんが、これを味と捉え一枚一枚の写真に向き合うことができるいい機会を与えてくれるレンズとなるでしょう。